多くの婚約指輪には、ダイヤモンドを始めとする宝石が付いています。そして、宝石の留め方にはいくつもの種類があり、それぞれメリットやデメリット、加工内容などが異なります。では、婚約指輪に宝石を取り付ける代表的な方法と、具体的な特徴を確認していきましょう。

目次

オーソドックスな立爪

数ある宝石の留め方の中で、オーソドックスなタイプと言えるのが立爪です。名前の通り、取り付ける部分に6本の爪があり、それで宝石を固定する形です。そして、主にラウンドブリリアントカットを施した宝石を使用します。ラウンドブリリアントカットは、宝石のカット方法の中でも定番で、上からだと円形、横からは三角形と台形を組み合わせた形に見えます。立爪の6本の爪は、あらかじめ先端に溝を彫っておきます。その溝に、ラウンドブリリアントカットの鋭い縁をはめ込むことで固定します。

そんな立爪は、宝石の全形を見やすいのが大きな強みです。見えないのは、爪で隠されている部分くらいです。そして、爪の間の側面から光が差し込むため、宝石の美しさが引き立てられやすいです。また、爪の部分を装飾として活かせるのも、メリットと言えるでしょう。ただ、どうしても指輪から宝石が飛び出たシルエットになってしまうので、使いづらい点がデメリットとなります。

バリエーションが豊富な埋め込み

比較的サイズが小さい宝石を使用する場合、厚みを持たせた婚約指輪に埋め込む方法も定番です。婚約指輪の地金に、あらかじめ宝石のサイズに合うようドリルで穴を開けておいて、そこにそのまま宝石を埋め込みます。もちろんそのままでは宝石は簡単に落ちてしまうため、何らかの留め加工を施しますが、その留め加工には非常に多くのバリエーションがあります。

複数ある埋め込み方法の中で、オーソドックスなのは伏せ込みと呼ばれ、宝石の周囲360度全てを固定します。大きな円形の爪で固定するような形で、爪のシルエットが目立ちにくいです。そのため、宝石がきれいに見えるのがメリットです。そして、敢えて爪が目立つようにする、マス留めや点留めといった加工方法もあります。マス留めは宝石を埋め込んだ後、周囲の金属を工具で寄せて爪を作ります。点留めは先端が丸い工具を打ち付けて、宝石の周囲の金属を変形させることで固定します。また、周囲の金属に溝を彫り、変形させて宝石を固定する、星留めといった方法も有名です。いずれも宝石を固定する部分が、装飾としての役割も果たします。

これら埋め込む方法は、婚約指輪のシルエットがすっきりとまとまるのが大きなメリットです。そして、婚約指輪の表面ではなく、内側に施すことも可能です。そのため、婚約指輪に宝石を使いたいけれども、使用している内に宝石を落としてしまうのが心配という場合にも適しています。ただ、その性質上、宝石の一部が爪によって必ず隠れてしまいます。また、光が入るのは正面からのみなので、光沢を実感するのが難しいかもしれません。そういった部分が、宝石の美しさにもこだわりたい場合にデメリットとなるでしょう。

マイナーな留め方もある

立爪や埋め込みと比較すると選ばれることが少ない、マイナーな留め方もあります。そのひとつが立爪と伏せ留めを組み合わせたもので、6本の爪を使用するのではなく、宝石の側面を全て金属で覆ってしまいます。立爪にありがちな衣類への引っ掛かりが起こるリスクが少なく、耐久性も高いです。ただ、爪の隙間から宝石を見ることができたり、光が差し込んだりするという、立爪のメリットはありません。

そして、埋め込みで複数の宝石を並べる場合は、隣り合った宝石の間に爪をひとつだけ作り、効率的に留めるという手もあります。もちろん複数の宝石を使用することが前提なので、選択できる機会は限られます。ただ、強みを活かすことができれば、宝石と爪の模様を組み合わせて、きれいな見た目に仕上げられます。

デザインや機能性で選ぶ

婚約指輪に宝石を固定する方法は、立爪あるいは埋め込みが定番です。どちらも異なるメリットとデメリットがあるので、使用するシーンを想定して、どちらにするのかを決めましょう。また、埋め込みを選んだ場合は、デザインのことも考えて留め方を選ぶ必要があります。